版画三人リレー展覧会の中で、唯一リトグラフを制作するのが宮崎文子。お会いしてお話していると、根っから版画や絵画が好きで、さまざまな試行に取り組んでいる人なんだなぁと感じます。お話されている表情がすきだなぁとまじまじ拝見したのを記憶しています。
このところお出会いした版画家が口をそろえておっしゃるのが、「本来版画の機能である複写技術、つまり摺る技術についてもう一度見直し、いつも最善の摺りができるように取り組みたい」という言葉。
宮崎さんもまた、この話を強くされていました。下絵の準備やパレットの作り込みなども、その場で見せていただき、彫って摺る、という簡単な工程で済まないのが版画なのだな、ということが判ります。
お話をしてもうまく人に伝えられない幼いころ、習い事でスタートした絵画教室にぞっこんになったという宮崎さん。絵を描けば、先生が幼心の自尊心を尊重してくれる褒め言葉やアドバイスをくれたその時間が至福の時で、それからもずっと通ったのだそうです。
小さな強みや自信を持つことは本当にすごいことだと思います。そこに「好き」が加わると最強で、今の制作活動の地盤となり、励みになっているのでしょうね。
三人リレー展覧会の前のお二人は木版画、そしてリトグラフでご覧いただく個展ではアンカーとなる展覧会。その違いも楽しんでいただけることを期待しています。
宮崎 文子 Fumiko Miyazaki
<略歴>
1971年生まれ 現在、神奈川県在住
1995年 多摩美術大学美術学部絵画科油絵 卒業 。小作青史氏に師事
1997年 多摩美術大学大学院美術研究科版画 修了
日本版画協会 会員
作品収蔵
町田国際版画美術館 多摩美術大学付属美術館 横浜銀行 静岡県浜松市
北海道放送局 王立シルパーコン大学(タイ・バンコク) 国立台湾美術館(台湾)
士別博物館(北海道)他
3人の版画 リレー展覧会「おわりとはじまり」
中村美穂・片平菜摘子・宮崎文子
2024年12月07日(土)〜12月25日(日)
中村美穂 2024年12月7日(土)-10日(火)
片平菜摘子 2024年12月13日(金)-16日(月)
宮崎文子 2024年12月19日(木)-22日(日)
合同展 2024年12月24日(火)・25日(水)
時間 12:00−17:30 (最終日のみ11:00-15:00)
休廊 2024年12月11日(水)・12日(木)・17日(火)・18日(水)・23日(月) を予定