鈴木さんの器は、主に二種。
青瓷(白瓷)釉とみかん灰釉の器です。
青瓷(セイジ)は、青磁と書きますが、焼き物業界では本体を磁土ではなく陶土で作っている場合、青瓷と書く慣しがあるのだとか。
「青瓷は単純な焼き物だけれど、焼成がとても難しく歩留まりが悪いので、昔から青瓷を作る陶工は、身上を潰すと言われて来ました」と鈴木さん。
なのに、会社勤めを辞めてなぜ陶芸の道へ。なぜ、青瓷だったのでしょう。
ある時、出かけた展示会で一つの青瓷の器に巡り合う。青瓷の難しさも理解しないまま、その魅力に目を奪われ、青瓷の研究を始める事になったのだとか。
「貫入青瓷は、厚い釉薬層に幾重にも入ったひびに光が反射して、浮かび上がる模様がくっきり。見た目から氷裂貫入、亀甲貫入、薔薇貫入などと呼ばれたりします。貫入を活かすため、私は本体には黒っぽい土を使います。そうすることで、貫入の模様に深みが増し、奥行きが生まれるのです。」
「青瓷の色は釉薬に含まれるわずかな鉄分が還元焼成により青く発色します。白瓷と表記している器は、青瓷の青色を作り出す鉄分を釉薬に配合しない透明な釉薬です。
釉薬層に含まれる微細な気泡によって光が乱反射して、見た目には半透明の釉薬になります。鉄分の量や、窯の中の置く位置で色に個体差が生まれます。絵画もそうですが、焼き物も当たる光によって色が変化します」(鈴木隆氏談)
なんだか、胸がざわついてきました。
鈴木 隆 Takashi Suzuki
profile
現在、小田原にて作陶。
神戸での個展は初となる。
1991年 独学で作陶を始める
2000 年 勤めを辞し本格的に作陶の道へ
2001 年 初個展
以降
2012、2015、2020 年
髙島屋横浜店美術工芸サロン
2021 年 ロンドンのギャラリーMAUD&MABEL
2022 年 アジア諸国 で個展、グループ展などを開催
朝日陶芸展、朝日現代クラフト展、長三賞ビエンナーレ他入選