近藤さんと話すとすぐ気がつくのは、「なんというか」としばらく口をつむぐこと。作品を見ていると、大雑把にもひらめきでとにも思えない、慎重で精緻な仕事ぶり。
「なんというか」という言葉通り、そのときにもっとも合致し、適した言葉や思いを、丁寧に話そうとされるお人柄が伺われます。
ドイツで過ごし、絵を描くことの好きな子供時代からの気持ちを、最終的に選択した近藤さんですから、冷静沈着なだけではなく、伸びやかな感性も持ち合わせています。
今回の作品の中には、数点「むむっ」と相好がくずれさせる作品があります。題して「食べ盛り」。
お庭にたくさんの蛾の幼虫をみつけたそうで、いそいで動画を撮影。その動きをみるうちに、尺取るときのお尻の動きに「なんとも言えず、かわいらしくて」と。決して毛虫がお好きなわけではないらしいのですが、そんな観察をする人なのですね。
北極星を目印に一人舟立つねこ。マフラーひとつ巻いて、漕ぎいでる姿は勇ましくやんちゃな一面を見せてくれています。
さて、近藤美和「慈雨〜つねに降り注いでいるもの〜」絵画個展。土曜と日曜の二日間となりました。まずは、目の前で美しく繊細筆の動きをお楽しみください。