2019年に「hiraeth」個展をされた時に彼女が言ったのは、「ご存知のような人物画をもう描くことはないと思いますが」との前置き。すべての可能性を否定することはありませんが、少なくとも当時の彼女が転向期のどこかにいたのは確かだと思います。
「access」展の作品は事前に画像では確認していたものの、開梱した原画をみてゆくと、胸を鷲掴みにされる作品がいくつも飛び出てきます。
余談ですが菅野さんの梱包はいつも端正でシンプルにされているため、仰々しさも感じられず平然と装った梱包なのです。
もう戻れない時間や記憶にアクセスする手段が制作、という言葉を改めて考えながら2年経った今回「私の記憶を思い辿る」「それを実践として制作に変える」という能動的な時期が到来しているのかと感じています。
さまざまな手法や技法の中に、ちょこっと織り込まれた「luz」作品のオレンジがその英語の意味であるlightのとおり、何かいいたげな作品を見ることができます。
アーティスト人生の中の一時期を切り取る出会い。貴重でその機会が訪れたことに感謝するのです。
本日土曜と日曜で原画を見る機会は終了となります。