「風前のともしび」という慣用句は、なにかしらサバイバルなイメージを抱きます。風という小さな火に大敵となる物理的圧力。ともしびは耐え忍ぶ存在。
「闇夜のともしび」は、ともしびが主役となり闇夜や迷いの胸中にいる立場には一筋の希望ともなります。
90日ぶりに開けたBIOMEに、何かと新鮮な刺激を与えてくれている若林さんの作品たち。先にあげた慣用句で言えば、アーティストからのアイディアや工夫はBIOMEには後者のように、暗示をくれるきっかけとなっています。
さて、ギャラリーに展示している若林さんの詩をご紹介いたします。
"ともしび"
ともしびが 空に。 足下に。 夕日に。 遠くからの手紙に。 いつか訪れたあの海に。 風のなかに。 あなたが生まれた日に。 その笑顔に。 ああ ともしびよ ともしびよ、 消えることなく照らしておくれ。
星の見えない夜を 道の先を。 この美しい世界を。 私のなかの宇宙を。
(若林哲博)