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片平菜摘子「おわりとはじまり」

神戸は初めてだし、関西での展覧会も初めてです。そう話してくれた片平さんと東京で出会ったとき、私は彼女に少女のようなイメージを抱きました。もちろん、会話が始まるとアーティストの顔に変わっていくのですが、ふと、幼い頃にはこんな表情をしていたのではないかと感じたのです。


高校時代までは普通科高校に通い、特にアーティストを意識していなかったという片平さん。鹿児島市で育ち、当時は「桜島の火山灰も日常なので、すっかり慣れちゃいましたね」と話していました。生まれ育った環境や自然が制作に大きく影響を与えているのではないかと思うこともあり、木版画のモチーフや色使いが、自然の影響を反映しているように感じたことが印象的でした。

「tree in the room」片平さんの表現する樹は幹が太いと思う

季節感というよりも、自然の世界にある有機物がふんだんに取り入れられており、モチーフそのものを大切に育て上げているかのようです。また、家の形を取り込んだ作品は温かみがあり、守られているようで、幸せな気持ちになります。


Knowing More About Natuko Katahiraからの引用です。


筆を使うと私はイメージに忠実に描きたくなりますが、彫刻刀で彫った線は潔く素朴で良いです。植物などの自然をよく描く理由の一つとして、「整えたい」という気持ちのほかに、「迎え入れたい」や「周りで見守る存在」としての要素があります。(片平菜摘子)


彼女の在廊時に醸し出す空気が心地よかったのは、こういった部分かもしれません。意志を持った受動性と言いますか、作品を観るゲストにも、帯同してくれた子供たちにも、常に迎え入れ、認める、そんなおおらかさを感じさせるお人柄と作品を寄せてくれています。

お出会いした時に感じた少女性は、そんなおおらかさとあわせて、邪気のないものをとらえている目やお話しが構成や制作にをささえ、彼女自身を形成しているからかもしれません。

ぜひ、ご覧いただきたい作品たちです。


こちらからインタビューをご覧いただけます。



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