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漆芸というもの

大上段に構えた説明をするつもりはないのです。

海外旅行に出かけた時に、日本のアートに関してコミュニケーションのひとつとして、漆芸の話ができたら面白いだろうな、と思っていました。

ワーディング一つから説明は困難で、また理解の程度も異国間では相当努力をせねばならなさそう。簡略しすぎず、醍醐味をつたえるには、やっぱりそれなりに勉強をし使ってみなければ、です。


4月13日(土)より始まる「たわめる草木のしおりに」展覧会に参加くださる四人のアーティストをご紹介しましょう。


4名のうち、この度の能登半島地震で被災は免れたものの大きな衝撃受けた金沢市に暮らすのが、黒木紗世さんと田中若葉さんでした。発生後ほどなく、無事であることを確認できましたが生活も伝統も大きなダメージを受けられたことでしょう。しかしながら、当事者である二人からは辛さを吐露する言葉はなく、愛してやまない漆への想いが語られました。

他方、浅野絵莉さんと八代淳子さんは少し離れた場所から、固唾をのんで見守り、辛い心中であっただろうと思います。漆芸を牽引するアーティストであると同時に、遠くもない未来を見据えているお二人からはそんな力強さを感じました。





香川で活動する浅野絵莉さん。

「全ての道はローマに通ず」のように、日本で漆を学んだ人の多くの背景には金沢・輪島があります。

私自身、直接の師に金沢出身の方はいませんが、最初に漆を学んだ藝大漆芸歴代教授には金沢出身が多く、その流れを脈々と受けているでしょう。

今、その輪島が大変な状況にあるなか、現代作家を通してうるしというものに興味を持ってもらいたい、その興味が復興の支援につながっていってほしいと思っています。



幾度となくご紹介した黒木紗世さんは金沢で活動を続けています。

漆の表現は多種多様で、使っている技法も極一部と言えると思います。

なかなか全ての技法を使いこなすことは難しいですが、面白い一面でもあると思うので、これから少しずつ、新しい技法の習得に挑戦し、自身の制作に取り入れ、針描き表現と組み合わせていけたらと思っています。






2021年のたからものforおくりもの展覧会で作品を寄せてくれた田中若葉さんも金沢で活動しています。

漆の作品はどこで完成とするのかを自分で決められるものだと思っています。

どこまでこだわるのか、どこまでつきつめるのか、そしてどこで抜け感を作るのか、まだまだ課題は山積みです。

そんなめんどくさくて、でも愛おしい漆についてこれからも遠回りしながら向き合っていきたいです。





軽井沢に住居もアトリエも引っ越されている八代淳子さん。


2024年の元日に、能登の震災が起きてしまいました。漆芸界には危機的な打撃です。

漆芸の文化を未来に繋げていけるよう、

一つ一つに、存在価値のあるものを作っていけたらと思います。









Kanjiru(art)展覧会

漆に向き合う人たちによる作品展

浅野絵莉・黒木紗世・田中若葉・八代淳子

「たわめる草木のしおりに」

2024年4月13日(土)〜4月28日(日)

12:00−17:30

最終日のみ11:00−15:00

水曜・木曜は休廊


左より)浅野絵莉、黒木紗世、田中若葉、八代淳子

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