浅野絵莉さんの出展作品の中に「堆漆」と記された作品が数点あります。
読んで字の如く、漆を堆く重ねていく技法。主に顔料を用いた色のコントラスト、堆積させる漆の量、また磨いたりカッティングしたりしたときに見えてくる断面のデザイニング。
支持体に重いものを用いていないせいもあり、軽量で茶杓が動く様が楽しめる茶箱用の茶杓としてご提案くださいました。
正面からも側面からも楽しい作品です。
もう一つは、コンテンポラリージュエリーを漆で表現する関美怜氏とのコラボレーションであるlayerシリーズ。まさに角度をかえれば楽しめる仕様になっています。
一言に、漆を塗りねるといっても、この作品のように薄い箇所、厚い箇所などを計算して塗り込めてゆかねばなりません。漆をひと塗りしてもさほどの高さになりませんから、塗って乾かしと気が遠くなるような技術であることを想像できます。
堆漆に、さらに彫りをほどこしていくとなると掘る深さなども考慮にせねばならないわけですね。てにとってまじまじとご覧いただきたい作品たちです。