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漆四人の作品展⑤ 生地としての紙

紙胎(かみたい・したい)という言葉があります。

和紙を重ね削り支持体を紙で作り漆を施したものに使われる言葉です。木のほかに、布地を巻いたり、和紙をはったりと、堅牢度、強度を増すための工夫がなされているのが、漆の良さでもあります。


緑があざやかな漆は、田中若葉さんの作品。これは「いろは豆皿」。

栃の木が生地ではありますが、表面に和紙が施してあり、このようにわざと皺をのこした風情が美しい作品です。栃は硬い木ですが、この和紙と色のおかげで、軽やかさを感じさせる表面感です。


この紙の用い方とは別に、こちらの作品をご紹介しましょう。

黒木紗世さんの「花文様紙胎皿」。こちらは、紙を支持体として作られています。裏面を見ると浅布がくっきりと浮かびあがっていて、紙と漆でできあがっていながら色味もあいまってどっしりとした風情。


古来より受け継がれた技法ではありますが、現代の生活にも馴染みやすいものも多くあるのが漆の世界。小さなもの、軽量なものからスタートするのも長くつきあえるきっかけになるかもしれません。

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