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木版画のこと その2

巴水のように叙情豊かに細かな彫りのものというより、ほっくりところんとしたようなものが実は日本人の大半がお好きなのではないでしょうか。思い過ごしでしょうか。

さて、自分の手でアートを生み出さない私のような人間としては、できるだけ多くの制作現場をみたり聞いたりしておきたいと思っています。


そんな中、京都の徳力さんへ取材兼見学に伺ったことがあります。そこで摺りの場ももちろん見せていただけたのですが、一緒に拝見しているゲストとの会話で、David Bull(以下、ブル)の話が盛り上がり調べたことがあります。イギリス生まれカナダ育ち、そして日本在住であるのですが、ブルさんが日本の木版画に魅せられたその経緯や理由を調べてゆくのも面白いものでした。


受け売りになってしまいますので、こちらをぜひご一読になってみてください。


ミツカン水のセンター 機関紙『水の文化』より



左から Ⓒ遠藤萌 「宵にむかう」「潤う山」


ブルさんは、木版画は大量生産できる美術品であるが、アートではない、様々な場面で発言しています。(注:BIOMEでは定義や議論としてのアートの定義ではなく、展覧会で紹介している作品をすべてアートと呼んでいます)

前回、エディションナンバーの話もご紹介しましたが、彼は摺り番号も入れ、大量生産できる美術品であることが木版画の唯一の存在理由と言うほど。作品に表現されたメッセージをできるだけ多くの人に伝えることが、存在意義であるとするならば、それはそうなのでしょう。モノタイプやAP(Artist's Proof)として数を最低限にし、その存在価値を高める手法もあります。BIOMEもそこに力点をおいたこともあります

彼の話からは、木版画を目の前にして考えうる根本的なテーマを見出すことができます。


それから、日本の木版画の特徴は摺ってあるその和紙にも魅力があります。書道でもそうですが、透けて見える和紙の裏側から、その描かれたものを見るのは意外に興味深いのです。濃淡や、木版の木目。美術品は鑑賞するためにケースにいれたり、ガラスで覆ったりとするそんな手法が発展してきました。


開催中の展覧会、遠藤萌の「さかいめの先へ」では、大きな作品以外は、アクリル板を外して展示しています。摺目やその香りまでもが瑞々しい彼女の作品は、連日、お客様が足を運び楽しんでいかれています。

blogでちょっと予習いただき、BIOMEでのひと時をお過ごしください。



ー開催中の個展ー

「さかいめの先へ」

遠藤 萌 木版画個展

2024年10月5日(土)-20日(日)

12:00−17:30

最終日 11:00−15:00

​休廊日 水曜・木曜 


アーティストインタビュー Knowing More



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