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木戸優紀子⑤ テビネリ・タシナム

成型手法の主たる技法手捻り(てびねり)。陶芸経験のある人ならほとんどの方が体験されていることでしょう。

例えば、BIOMEで初お目見えの燭台たち。小さなサイズにも関わらず、安定感を持たせつつ、受け皿の部分は薄く、わずかな歪みがその面白さを表現されています。ご本人は、「ヨッとまっすぐになるようにろうろくを立てるのがコツ」と楽しそう。


てのひらから生まれ出たこの手捻りは、ろくろで作られたものに比べ、「どっしりとしていて」「あたたかみがあって」「手作り感満載」と表現されるのですが、くびれや受け皿を成型し、その上に優細描である美しい線がひかれた様は、どちらがどうと評価すべきものでもないように思えます。





つぎの三つ足の深盃。

華奢な脚が、器の中に彩られたものを奉るかのような優雅さ。指先からこねられた繰り広げられたことが愛おしいではありませんか。


手捻り 三足深盃

個展のタイトル

「嗜む」は、木戸さんが決めてくださいました。


お客様には、様々なシーンに木戸作品を楽しみ、味わって、その時間や空気も含めて堪能することを望まれます。創り出すことを「嗜む」と使うのは少々違うのかもしれません。ただ、彼女が、使う人の「嗜む」時間を想定しながら、手を動かしていることは間違いありません。

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