川島 逸郎(Itsuro Kawashima)
生物画家
1969年 神奈川県生まれ。
・神奈川県立生命の星・地球博物館 元学芸員(非常勤・昆虫学担当)
・川崎市青少年科学館(かわさき宙と緑の科学館) 前学芸員(技術職員・自然担当係長)
共著に「Handbook of Zoology, Insecta, Coleoptera Vol. 2」(Walter de Gruyter)、「日本のトンボ」(文一総合出版)、「ヤゴハンドブック」(同前)他。
挿画には「小学館の図鑑 NEO昆虫(旧版)」(小学館)、「バイオディバーシティ・シリーズ」(裳華房)、「わたしの昆虫記(矢島 稔)シリーズ」(偕成社)、「完訳ファーブル昆虫記(奥本大三郎 訳)」(集英社)他
川島さんは、精緻な標本画を描く著名な方だと、いろんな方に伺う上でようやく理解するようになりました。彼を知ったのはイラストレーション専門誌『illustration222号』で紹介されたことからでした。
(BIOMEの)幼なじみのお父様で昆虫採集をされる方がいました。応接間は標本を収納する仕様にされていて、美しく並んだいろんな国の昆虫を不思議な気持ちでいました。何せ、生活の中に、不思議な昆虫がブンブン飛んでいるような環境でしたから、なんでこんなことをするんだろう、と。
さて、川島さんとお目にかかって、時間を忘れてもっと伺いたいと思えたのは、そんな幼い頃の思いがあったからかもしれません。
ところで川島さんは、目が非常にお悪くておられるそうです。強い日差しの下にも晒されるのはよろしくないとのこと。「なのに虫がいるところがなぜわかるんですか、どうして虫を観察することができるんですか」という不躾な質問をしてしまったのです。
「虫の『気持ち』がわかるんです。どこに潜んでいる、『ここにいるよ』って直感でわかるんです」と穏やかに教えてくださいます。
あまりに非日常な高揚感。本当にこんな人がいるんだと。空気、温度、湿度、草、土などから肌で、経験と知識で、情報をえるなんて川島さんご自身が昆虫のよう。
生物画、標本画は知っていても、それを描き、どう活用されどう昇華されるのかは、意外にというかほぼ知られていないのではないでしょうか(伺って、漠然とした憤懣や消化しきれない気持ちになりました)。
今回、原画にプライスをつけて出展いただけることはとても珍しいこと。ぜひご堪能いただければと思います。