個展初日の前日。設営を終え、事務作業を黙々としているBIOMEの中で、
「忙しいですよねー」「そうですよねー」「一人で大変だなー」などと言いつつもまた、ご自身の作品の配置をしたり、次には展示するはずのなかった写真作品が飾られていたり。
「宮本さん、それリストにありませんでしたよねっ」と語気強く確認するこちらのことはそっちのけで、宮本タイムが流れてゆきます。
だって、作品の最終プライスもさっき決まったんですよね。
「宮本さん、あと15分の間に、今の作業を終えるつもりなんですよ」と宣言したら、「そうなんだよなー忙しいですよね」と言いつつ、目の前に立ってカバンから木箱をだしてくるではありませんか。
「これね、僕の宝箱なんです」と。
あーあー。またハマってしまった、だっておもしろいのですから、そのたから箱とたからたち。これは非売品ですし、BIOMEでしかご覧いただけませんよ、今のところ。
この写真本は、宮本さんの思考やセンスが大いにもりこまれたものですが、クライアントワークはそういきません。言葉にしなくても、ならなくても、ものをいう写真や表現方法。
展示作品を一堂に介して、その威力を知りました。
とても貴重な瞬間を得たのでした。作業を止めて、得られた大きなたからでした。