個展「イカリエ」の作品たちは、2021年頃にパリ個展から始まった「街」シリーズの旧作から、今回趣が異なる「石」「狛犬」「家」セグメントからなる作品が並びました。
唯一無二の作品とお伝えしていますが、現物はご自身で撮影した被写体の画像をプリントしたものです。ところがどうして唯一無二となってしまうのか。プリントでも複製を目的としたものではありません。なぜなら
その原版はさまざまに加工なされていること
加工とは、色彩や露出だけではなく、裏側だったり、逆さだったりも含まれること
排出する紙は、非常に繊細な和紙であること
プリントした柔らかで薄い和紙をトリノコに特殊糊と霧吹きで裏打ちをしていること
額設定で封印した場所に、宮本氏のサインが施されていること
2度と同じものはできないんですよ、とにっこりする宮本さん。
作品を鑑賞するにあたって、解説や説明は極力しないようにしているという宮本さん。和紙の繊維が醸し出す霧のような、靄のような優しさとミステリアスさ。被写体は一体なんなのか、これはどんな向きだったのか、何より何に見えたり思ったりするのか。
愉しみは尽きません。
このサインを見ることができるのは、剥がしたりしなければならないのでしょうね。封印してしまっていますから。そう思うと、一人ほくそ笑んでしまうのでした。
みなさんも現地でぜひご覧いただきたいのです。イカリエ展、7月16日(日)宮本さんの誕生日の日まで!