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宮崎文子 「おわりとはじまり」

リレー展の中で、今回はお一人だけがリトグラフの出展、それが宮崎文子さんです。リトグラフは、主には油性インクを用いているので、繊細な質感や豊かな色彩や発色が魅力です。

12月の人」のブログでも、「Knowing More About Fumiko Miyazaki」にもあるとおり、宮崎さんは幼いころから絵を描くことに喜びと楽しさを感じている人です。だからリトグラフの技法にそのカテゴリーを広げたことは不思議ではありません。


個展ではリトグラフの原画としての絵と制作メモをつけてくれています。面白い試みです。やはりアーティストの生の声は響くのです。

3点、特別にご紹介します。

「ButterflyⅡ」の原画
「ButterflyⅡ」の原画

「ButterflyⅡ」 リトグラフ版画 制作メモ (使用したのは9版10色)

バイオームでの展示のメインモチーフとなった蝶。

これも 蝶々がふわふわと飛んでいて 空の方へ消えていきそうな場面です。シンプルに原画は描いたのに 版画の下地のグレーの色味に翻弄され3回くらいはやり直した。版も3版作り直し。グレーの色味の調整は 本当に難しい。後で重ねたときに全く違う色味に変わって見えてしまう…。



「in the Blue」の原画
「in the Blue」の原画

「in the Blue」 リトグラフ版画 制作メモ (使用したのは8版12色) 

家を題材にした作品です。引っ越した家の外壁の色をどうするか悩んでいた時に建築士の方に言われたのが、景色とか周りの風景になじむ色がいいと。なるほど。

それで、好きな青色で家を描いたら、周りの景色も青色になっていく。 逆なんですけど、絵だから周りの景色の方が家の色に溶け込んでいくのもいいなと。実際は逆なんですけど。


「万両」の原画
「万両」の原画

「万両」 リトグラフ版画 制作メモ  (使用したのは8版20色)

やっぱり下地の黄緑の色が難しかった。上下の色味の違いはグラデーションを使って1版で再現。緑グレーの上に黄色がのるか心配だったけど白を混ぜることで何とか再現できた。早く赤い実の版(一番最後の版)が刷りたくて仕方がなかったのに、慌てたのか最後の最後に大きくずれてしまって、一枚無駄にしたのがとても悔しい。

 

宮崎さんの作品もまた、実際ご覧いただくとじわじわとその迫力と美しさを実感していただけること、うけあいます。

 

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