この数年、堂前さんと定期的にお目にかかれることになったのも、BIOMEをスタートさせたおかげ。堂前さんの作品にはその人となりが顕著に反映されていると思わざるをえない。
これは初めて、堂前さんのおられるはこだて工芸舎へうかがったときの街の風景。
宿の向こう側はもう青森。
彼は、函館の生まれ育ちではないけれども多感な時期を函館で過ごし、今ここで歴史的建造物を承継して、さまざまな試みをされている。
この数年のお話しのキーワードは「もうね、時間を感じるね」とか「やれるときにやらなくてはね」というお言葉。悲観的でもないし、諦観的でもない。いかにして、ご自身の信念を無理なく貫き、やりたいことを遂げるのがどのくらいあるのか。
残された時間をむしろ、試すか、楽しむかのようにも聞こえます。
沸き立つ希望や思い、それらを優先順位やときどきの都合を考えて、最善の方法を選ぼうとされているよう見えます。そんな堂前さんのスタイルが作品に表れていると感じています。
「楕円皿のような薄さが軽くて好みなんですが」と伝えると、「日常で使うには少し薄いような気がしてね。少々のことでは欠けたり気を遣わなくてもいいそんな民芸作品なんですよ」とやさしく説明下さるのです。
ぜひ、堂前さんのInstagramをフォローなさってみてください。アーティスト、というより一人の賢人の生き様を知ることができる貴重な記録のように思えてなりません。