ヤギエツコさんの作品に出会ったのは、昨年のこれら甍の波を描いたものでした。瓦屋根も都心ではもはや少なくなっているとは思いますが、この藍色の瓦がすっかりお名前とりんくしてしまいます。
かつて、屋根瓦の家屋がほとんどだった日本家屋は、棟を積む段数が高いほど立派な家とされていました。現在は耐震性の向上、住宅全体の軽量化が進んでいますし、フラットな屋上の建築物も多い。ヤギさんの瓦の表現は、反ったり、重なり合ったりという精巧な描き偏り、色や形を工夫し無数に家が立ち並んでいる、ゆえ、瓦屋根が織り重なって見えることでしょうか。ところどころに、人影や猫が描かれ、生活の営みが垣間見えるところが、滑稽でもあり、あたたかみを感じます。
昔から絵を描くのは好きでしたが、本業にしようとは考えていませんでした。そんな頃、インターネットでイラストレーションコンペ情報を知り、ダメでもともとと応募。
案の定、箸にも棒にもかかりませんでした。
そのことが自分でもびっくりなのですがすごく悔しかった。絶対に上手くなりたいと思ったんですね。その悔しい思いが今でも大きな原動力になっていると思います。(ヤギエツコ)
こんなふうに語りながらも、今のヤギさんは「楽しんで描く」ことを、意識しているとお話しされます。まだ2回目の個展とおっしゃるのですが、満足感の高い展覧会に仕上がりました。ただいま、Meeting You Online でもご覧いただけます。現物は、BIOMEで。