その日彼はやってきました。見覚えのある顔。息子の友人であるR君。美術専攻がある高校に通っています。中学卒業後久々に見る彼は精悍な顔立ちなものの所在なさげ。ここは好きなように見て座って眺めるもよし作品もプライスもじっくり楽しんでと促しました。
現在開催の久保田寛子さんの「紙のうえ」個展では物販にも近い、マット形式の版画、ZINE、コマ漫画もご覧いただけます。R君は一つ一つをゆったりじっくり眺め、メモまで取っていました。テーブルにある漫画にも熱心で、ブハッと時々漏らす笑い声。
市場調査から戻った久保田さんから「石膏デッサンとかしよるんかな」と質問されると「はい一番嫌いです」と。R君のゲストカードには「いろんな技法がいろんな形で表現され僕には大変な刺激」と残されていました。