大層、メゾチント作品に魅了されたけれども、言葉にして一つひとつの分解をするのは難しい。けれど、初展示の時に感じた一度室温が下がったような重さや静けさ、そして物言わず闇から浮かび上がるようなメッセージ性。
ダイレクトに「目にみえない」「聞こえない」のに、確かに存在するというところに主眼を置きました。
また、その確かに存在するのを実感するのはPR(の声)、噂(の声)、説明(の声)なのではなく、作品に対峙しているゲストと作品だけ、そういう思いを込めたタイトルでした。
I’m more than you see here
More than you let me be
I’m more than you know
A body in a soul
You don’t see me but you will
I am not invisible
I am here 「Invisible」U2
そこで浮かんだのが、
1980年にデビューしたアイルランドのロックグループのある歌詞。もはや、というより日本ではなかなか受け入れられていないと言われますが、デビュー当時の歌詞や音楽はザクザクと粗削りなのにショッキングな内容であり、愛や恋や、絆やつながりやというものとは程遠いものでした。この曲の解説は割愛ですが、今回のメゾチント二人展に重ね合わせてみたのです。
Osmanthusは金木犀。このところ急に気温も下がり、そろそろどこからともなく漂ってくるこの香り。invisibleとは対極にある名詞としてこの季節にあわせました。
作風も異なる、大森さんと林さんの作品を見比べるのも楽しい。どうぞじっくりお楽しみください。