生まれ育った兵庫県のすぐ隣に京都があり、身近な場所。山道、有料道路、混雑する市街地、暗い道、バイパス——ほとんど車で移動してきたため、電車の記憶はありません。かつて、ラグビー試合の撮影で宝ヶ池へ向かう際、高速道路の出口ではいつも渋滞に巻き込まれ、降りた後も好きになれない風景の中を、のろのろと進むしかありませんでした。
ところが、ここ数年十条あたりまで一気にアクセスできる道があると知り、かつての混雑や猥雑なロードサイドショップを避けながら、スムーズに京都市内へ入れるようになりました。週一回通う道としては、相当快適なのです。

高速道路は、盆地の中を少し高い道に張り巡らされています。車を走らせながら、西山連邦、高尾山、比叡山といった山々を遠くに見渡せるのは、心を穏やかに、そして広やかにしてくれます。
NEXCO東日本が提唱する「moVision」プロジェクトによると、
経済発展:物流効率化を促進し、地域経済の活性化や企業活動の促進に寄与
生活向上:都市間の移動時間短縮や観光振興、災害時の迅速な避難・救援など、国民の生活の質の向上に貢献
安全性:一般道に比べて事故率が低く、渋滞緩和による環境負荷の軽減にも寄与
国土強靭化:災害時の緊急輸送路や代替ルートとして機能し、国土の強靭化に貢献
とある傍らで、
2021年の陸上自衛隊の大規模演習で、戦車や装甲車が高速道路を走行する様子が報じられたり、一部の高速道路区間を緊急時の滑走路として使用する計画や訓練が行われた例もあるようです。十分想定されるところです。
おおかたは、利便性の向上に寄与されていますし、標識の設置の仕方やその効果、事故を起こしにくくするための蛍光テープや構造などは感心するところが多くあります。危険なところ、スピード違反が多いところには標示が多く設置されていたり、道路線を心持ち狭く太くしてあったりということも、学術的にも研究されているそうです。あらゆる注意を自分の中に張り巡らせる、緊張感ある楽しいヴィークルを使って、移動できる私たち。
風景の変化や交通の流れを感じ、土地の変遷や発展を見て、いつもは考えないことを思ったり、整理したりできる時間。また、テクノロジーの進化によって、移動中の体験はさらにパーソナイズされ、音楽や情報が個人の記憶と結びついていく。なんだか、ジムトレーニングにも似ているなと失笑しています。