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「蒼茫のきせつに」銅版画展 版板をご覧ください

銅版画と一言に言っても、田中涼子さんと水上多摩江さんは手法も作風も異なります。このお二人の組み合わせをわざわざに選んだのは、そんな違いを知るによいなと思ったからなのです。

銅版画を経験されたかたならば、それぞれの作品のみどころを細かくご覧になられることでしょう。たとえ、詳しくなくとも、BIOMEにお越しいただければ感じ入っていただけるのではないかと思います。


田中涼子氏の場合

銅板に、銅の腐食を防止する液、黒ニスで、メインとなるモチーフを描画します。

描写後、銅を腐食させる液、第二塩化鉄に漬けて腐食させることで、段差がつきます。

その後粉末を定着させ、さらに腐食させることで、細かい粒々の凹凸をつけていきます。

これがアクアチントと呼ばれる技法です。

何度か腐食を繰り返し、濃い濃淡が表現できるよう調整。

この作業が自身の作品の中では重要な作業であり、腐食の時間を測り、

何度もルーペで確認します。最もを気を配る時間でもあるのです。 そして、バニッシャーとスクレーパーと呼ばれる道具を用い、葉や鳥などメインの絵柄を削り出していきます。削りすぎないようルーペで確認しながら進めます。

   

 


水上多摩江氏の場合

自然の中でいるのが好きなのです。

山歩きで出会った越冬したタテハチョウを描いてみようと思いました。

タテハチョウは、蝶の姿でじっと寒い冬を越すのだそうです。印象に残りました。


まず、色鉛筆でラフを考えます。

この色と、この色が重なったら面白いんじゃないかな。重なるところと重ならないところ、線の集まりにするのかフラットな面にするのか。今までの経験と、こうしたら新しいかも?

などと、その時に思いついたことをラフで表現してみるのです。

「タテハチョウ」は、青と黒と茶色の3版で作ってみたら色や形、模様に深みが出るかも?などと考えつつ。

ラフが決まったら設計図(ちょっと大げさですが)を描いて銅版に転写して版を作っていきます。いつもそんな感じで作っているのです。

 



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