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片平菜摘子「つながる家」木版 25×35センチ.jpg
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3人の版画リレー展
「おわりとはじまり」 & 
片平 菜摘子

2024年12月7日(土) から25日(水) まで、3人の版画リレー展 中村 美穂・片平 菜摘子・宮崎 文子による「おわりとはじまり」が開催されます。

片平 菜摘子氏に作品や制作について、お話を伺いました。

12月13日(金) から16日(月) までの片平氏による版画展、そして12月24日(火)・25日(水)の合同展とあわせて、ぜひお楽しみください。​

​作品名:「つながる家」

今年10月、東京都美術館で行われた日本版画協会による版画展で出展された作品「One day」、観させていただきました。作品について、少しお聞かせいただけますでしょうか?また「One day」でも、DMのキービジュアルである「つながる家」でも“家”が登場します。片平さんにとって“家”はテーマなのでしょうか?

「One day」は、部屋の中で、それぞれの人が抱えている大切な気持ちや思いをイメージしてつくっています。

“家”は特に意識して描いているわけではないのですが、確かに家を描いた作品は多いですね。今回の出展で、私は「家」「自分自身」とそれ以外との関わり、「内側」と「外側」、そしてその「境界線」のようなものをテーマに描いているなと改めて思いました。

DMで紹介させていただいている「つながる家」は、2棟の家が線でつながっています。今住んでいる家と実家の鹿児島の家が近くにあったらいいな、一緒に住めたらいいな、いとこの子どもとうちの子どもが一緒に遊べたらいいな、など自分の中にあるさまざまな思いを線でつないで表現してみました。
作品の中で、花が並んでいるのですが、あれは庭を整えられたらいいなと思ったことを描いたものです。
私の作品は、身近な思いがテーマになっていることが多いです。

Oneday.png

「3人の版画リレー展」への参加の決め手はなんだったのでしょうか?

出産と子育てのため活動をお休みしておりましたところに、お声がけをいただきました。ちょうど今後のことを考えていた時期でもありましたし、友人の山口茉莉さんが以前「空想建築のある空間」という個展をBIOMEさんで行ったこともあったので、良い機会なのではと思い、流れに身を任せてみようと思いました。
日本版画協会が行っている版画展には毎年出展していましたので、完全なお休みとはいえないのですが、ギャラリーでの展示会開催は久しぶりです。また、関西方面には知り合いも少ないので少し不安もありますが、お客さまに楽しんでいただければ嬉しいです。

 

作品名:One day

久しぶりの制作はいかがでしょうか?お休み前とは違っていますか?

慌ただしい生活の中で制作モードのオンオフのスイッチを切り替えるのが、とても難しいなと感じています。
お休み前からの変化という話とは少し違うかもしれませんが、学生の頃はとても淡い色を使い、それを重ねていくのが特徴だったのですが、その頃と比べると次第に色が濃いめになってきていると思います。

inthemorning.png

片平さんの作品は、どれも温かく、優しさあふれる印象を受けます。作品を制作する上で、気をつけていることなどがあればお聞かせください。

木版画の魅力は偶然性と木の素朴さです。版を写し取ってみると、「こんなふうになるんだ」という驚きがあります。下絵に合う木目を選ぶこともあります。
この自然に身を任せる行為が、テーマの一つでもある「曖昧な記憶に輪郭を与える」ことに合う気がします。
筆を使うと私はイメージに忠実に描きたくなりますが、彫刻刀で彫った線は潔く素朴で良いです。植物などの自然をよく描く理由の一つとして、「整えたい」という気持ちのほかに、「迎え入れたい」や「周りで見守る存在」としての要素があります。
版画作家の中には、精巧な技術が分かるような作品作りを行っている方もいますが、私の場合は、面や彫りを多用する作品が多い一方で、色や木目の温かみを大切にしています。
色は少し淡いほうですが、日本的な優しさや温かさを意識し、また家に飾っていただくことをイメージして制作しています。

 

作品名:In the morning

3人の版画リレー展のタイトルは「おわりとはじまり」ですが、片平さんのパートでサブタイトルを付けるとしたらどのようなものになりますでしょうか?また、展示予定の作品などについても教えてください。

新しいものを制作したり、過去の作品を見返したりする中で、「おわりとはじまり」というテーマから、季節の移り変わりをイメージしました。「雪が降りそうだな」とか「あたたかくなってきたな」といった季節の変化を感じるような思いをサブタイトルとして付けられるような作品をお見せできればと思っています。
作品は大小合わせて10〜15点を予定しています。旧作で刷り増しができる作品も含める予定です。

garden.png

新たな年を迎えようとしておりますが、新たに始めようとされていることはありますか?もしくは挑戦してみたいことはございますか?

今後も木版画を続けていくのであれば、本の装丁や挿絵の仕事にも取り組みたいと思っています。
既に取り組んでいるものとして、保育士を目指す学生さんが使う教科書の装丁や、同じ出版社さんからの本の装丁を担当する機会をいただいています。

版画以外では、久しぶりに楽器を始めたいと思っています。ピアノやギターなどです。中学生の頃、吹奏楽部でアルトサックスを演奏していました。鹿児島の母が趣味でゴスペルをやっているので、いつか一緒にできたらいいなと思っています。

 

作品名:garden

片平 菜摘子 Natsuko Katahira

鹿児島県出身、神奈川県在住

女子美術大学 芸術学部絵画学科版画専攻 卒業

女子美術大学大学院 美術研究科美術専攻版画 修士課程修了

Instagram /natsuko_katahira

 

主な展覧会:

2006 第12回鹿沼市川上澄生木版画大賞展(栃木)、日本版画協会展

2007 個展 Gallery Jin(東京)

2009 個展 アートゾーン神楽岡(京都)(2012年)、ギャラリー杜(鹿児島)、Gallery Jin(東京)

2010 LITTLE CHRISTMAS ちいさな版画展(全国各地)(以降2017年まで)

2011 アートフェア東京 東京国際フォーラム、個展 Gallery Jin(東京)

2012 個展 アートゾーン神楽岡(京都)、Gallery Jin(東京)

2014 Young Taipei Art Fair(台湾)、個展 Gallery Jin(東京)

2016 The London Original Print Fair(イギリス)、木版画交流展(オーストリア)

2017 木版画の魅力-日本・リトアニア現代木版画(リトアニア)

2022 日本現代木版画展(セルビア)

 

賞:

2008 女子美術大学大学院修了制作 福沢一郎賞

2010 第78回日本版画協会展B部門 奨励賞

3人の版画リレー展
中村 美穂・片平 菜摘子・宮崎 文子
「おわりとはじまり」
 
2024年12月7日(土) から25日(水) まで
12:00 ‒ 17:30(最終日は11:00 ‒ 15:00)
 
片平 菜摘子 Natsuko Katahira
12月13日(金) から16日(月) まで
17日(火)・18日(水) は休廊日
 
3 人の合同展
12月24日(火)・25日(水)

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