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風追い童子_91.0×182.0㎝_2024.JPEG

Knowing More About 横山 芙實 &
「風のまつり日」

BIOME Kanjiru (art)にて2024年9月2日(月)から 9月16日(月)まで変更になっています)、横山 芙實氏による個展「風のまつり日」の開催を予定しております。個展の前に、インタビューをしましたので、横山氏の作品とあわせて、おたのしみください。

今回の個展のタイトルを、「風のまつり日」とした理由を教えてください。

2021年に自然豊かな東京の奥地へ移住しました。この地は私が生まれ育った宮崎県の田舎町にとてもよく似ていて、ふと幼少期に引き戻されたような感覚に陥ることがあります。穏やかに四季を感じ、愛犬と共に野山に分け入り、気さくなご近所さんと接する日々の中で、いつしかこの土地に吹き抜ける風を描きたいと考えるようになりました。

 

学生時代から、感情の変化を風や雨、太陽などの天候に例えて描くことがありました。天候は恵みをもたらす一方で、時には災いも運んでくるものです。まるで神のように、その風に対する畏敬の念を込めて絵を描きたいと思い、「風のまつり日」というタイトルを付けました。

「風のまつり日」にて展示予定の作品は、過去の作品と違う印象を受けました。過去の作品と共通する点や、変わった点について教えてください。

学生時代から20代の終わりごろの作品は、故郷での思い出や「私自身、私と兄、母親との関係」が主なテーマでした。今回の作品群にもその側面はあります。ですが、以前はそうした関係性や苦悩を表現するため、彫刻刀を使って削りを入れたり、切実さを出すためにゴツゴツとした要素を取り入れたりしていました。

前の項で述べたように、生活環境が穏やかになった影響なのか、30代前半の今は、柔らかく伸びやかな線への憧れが強くなってきました。線の中に、これまで重きを置いてきた苦悩だけでなく、人間の温かさも内包させたいと考えるようになったのです。今回の個展、「風のまつり日」の作品群は、そんな変化の中で描いたものたちです。

今回出展される作品についてお聞かせください。

「揺かご」(*スマホは上、デスクトップは右に表示されています)という作品では、母親に抱かれ、目を閉じた子供の姿を描いています。これまでいくつか母子像を描いた作品がありますが、どれも子供の表情に含みを持たせていました。今回の作品では、眠っているような表情の子供と、何かを思い詰めたような母親の表情を対照的に描いています。この母親像には、私自身の母への思いや、最近子供を産んだ友人たちの姿を重ねています。女性を描くときは、美しさというより暗さや泥臭さを表現できたらと思っています。ただし、今作では画面が暗くなりすぎないよう、明るい緑の色合いを取り入れてバランスを取りました。見る方に自分の母親や子供との関係を重ねていただけたら嬉しいです。

「風追い童子」(*本ページ上に表示)という作品は、8月に京都市京セラ美術館で開催されたグループ展に出展した「風のまつり日」(個展タイトルと同じ)の連作です。そこで描かれている子供が、「風追い童子」と少し重なる造りになっています。

大作「風のまつり日」では、万物の母のような存在が口から風を吹き出しており、生命を象徴する風を創造し、己の元から送り出していくという構成です。なので、ここでは生命=風=子供という形をとっています。子供が2人描かれているのは、私自身が双子で生まれたことに由来しています。母なる存在と子供2人というのは、私の家族構成そのものなのです。「風追い童子」は、この創造された風を追いかけ遊ぶ子供を描いたものです。見方によっては、この子供自身が風を起こしていると感じ取れるように描いています。

大作「風のまつり日」(194×679㎝、2024年)は、横山氏のInstagramにて、ご覧いただけます。

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最後に、横山さんが思う日本画の魅力とは?

やはり素材です。岩絵具の美しさや、和紙の温かさには絶対的な魅力があります。素材自体に人々の郷愁を駆り立てるものがあると思うのです。日本画の絵具は、室内の照明下でも、窓際の自然光の中でも違った顔を見せてくれるので、その違いも含めて楽しんでいただけたら嬉しいです。

プロフィール画像2024.JPG

横山 芙實

Fumi Yokoyama

 

日本画家

宮崎県生まれ

女子美術大学大学院 博士前期課程美術研究科 日本画研究領域 修了

 

2015年 女子美術大学卒業制作賞

2016年 KENZAN2016 N賞

2017年 女子美術大学美術館賞(作品収蔵)

2017年 ギオン相模原賞 大賞

2017年 第6回ArtistGroup-風-大作公募展 入賞(以降ʻ19ʻ20)

2021年 第1回NIHONGA〇-en-(以降ʻ22)

2022年 第9回郷さくら美術館 桜花賞展 出品

2023年 第2回絵と言葉のチカラ展 NOBUKO賞

横山 芙實 日本画 個展

「風のまつり日」

2024年9月2日(月)から 9月16日(月)まで

*台風の影響により変更しています。
平 日:12:00 - 17:30
土・日:11:00 - 17:00
最終日:11:00 - 15:00
休廊日:水曜・木曜

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